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地球飛行士からの手紙

音楽に関するブログです。

あまりにも無名な?BUMP OF CHICKENの5つの名曲。

 

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※2016年2月11日 幕張メッセ 駐車場

どうもハローワールド。このブログでは、音楽(特にBUMP OF CHICKEN)にまつわる超ディープな記事をアップしてゆきますので、良ければどうぞお付き合いください。ちなみにTwitter@inuue_nn別館ブログはこちらです。

さっそくの第一弾記事ですが、今回はバンプ・オブ・チキンの、あなたが知らない(無名な)5つの“名曲”について紹介してゆきます。といっても、ディープなファンの方ならひととおり全部*1聴いた事はありそうですので、今回はこの「無名」については、シングル曲ではなく、これまでタイアップもついておらず、MVも作られたことがない曲の中からとし、ディープなファン以外には知られざる5つの名曲について、楽曲のエピソードを交えながらご紹介&解説させて頂きます。

ちなみに各曲の紹介では、YouTubeに投稿されたそれぞれの曲のカヴァー音源を紹介しています*2誰かに歌い継がれてこそ、音楽は生き延びます。ぜひそれぞれのカヴァーも併せてお楽しみくださいね。

 


(please)forgive(アルバム『RAY』収録)

5年間も封印されていた幻の曲! あたたかくて寂しい、藤原詩の真髄。

「(please)forgive」は、アルバム『RAY』に収録されているアルバム曲です。しかしレコーディングはその前のアルバム『COSMONAUT』セッションの際に、既に終わっていました。しかし、CDの収録時間をオーバーしてしまった関係から、たまたま「暗い」という理由でこの曲だけが削られてしまい、2009年の作曲から実に5年間もお蔵入りしてしまった不遇な曲*3です*4

しかし本曲は、その不遇さや知名度に反して、BUMPのキャリア史上屈指といえる名曲の一つです。特に、ある程度年齢を経た方には強く強く響いてくる楽曲だと思います。社会の理不尽を経験し、10代の頃のような「元気」も尽きてしまい、生活への劇的な変化を期待しなくなった……。それでもどこか、いまの生活に不満を、変化を求めてしまう私たちの心に、「それでいいのだ」と藤原は優しく歌いかけます。それも含めて、あなたは今も選び続けているんだ……というのが「(please)forgive」なのです。それはまるで、BUMP OF CHICKEN史上に燦然と輝く傑作「ロストマン」の、そのドラマチックさに年齢を感じてしまうようになった……アラサーな人々への、次の1曲を用意してくれたかのように。(please)forgive=どうか許してくださいと問いかける相手は、もしかすると過去の自分自身なのかもしれません。

この曲は、藤原が生涯敬愛しているマイケル・ジャクソンに捧げたとされる作品*5でもあります。生まれて初めての海外旅行で、フランスとアイルランドに滞在した藤原。その着陸した先のシャルル・ド・ゴール空港(フランス)で、藤原は当時亡くなったばかりだったマイケル・ジャクソンの楽曲を耳にします。その時の体験から、「(please)forgive」が誕生したとか。様々な人々がそれぞれの生活に向かって、目的地まで飛んでゆく「空港」という場所、そして亡くなってしまった生涯最愛のアーティスト……。そのエピソードも踏まえると、また違う景色が見えてくる楽曲かもしれません。

カヴァーはYouTubeより、一瀬さんの音源をチョイス。女性がカヴァーするとグッと魅力がのも、藤原楽曲のおいしいところですよね。今回は紹介していませんが、アルバム『ユグドラシル』収録の「embrace」とかも、JUJUのようなシンガーがカヴァーするときっといいと思うのです……。

オリジナルはこちらから。

(Please) Forgive

(Please) Forgive

 


ディアマン(シングル『グッドラック』収録)

藤原ワールド真骨頂!BUMP OF CHICKENのカッコ良さを100%体現する、あまりにも無名なカップリングの名曲。

BUMP OF CHICKENのメンバーである増川弘明はなかなか面白い人で、ラジオやMCでの数々のトボけた発言は勿論のこと、「あなたバンプのメンバーでしょうが!」って突っ込みたくなるようなことも時々話していたりします。たぶん彼は他のメンバー以上に、素でただの(我々と同じ)バンプリスナーに戻ってしまう瞬間があるのでしょう。で、増川はシングル『グッドラック』発売時のインタビューで、カップリングであるこの「ディアマン」について、「この曲は僕が思う究極のカッコよさに最も近い」と発言しています。

まさに、その通り。この曲ほど藤原楽曲のカッコ良さを凝縮したものは他にありません。全編藤原の弾き語りで展開しており、これまで節々でしか聴けなかった「藤原っぽい」歌いまわしを、これでもか! と詰め込んでくれていますし、歌詞もどこまでもひとりよがりで、寂しく、孤独にあふれたものばかり。そして間奏では、BUMP OF CHICKENのデビューシングル「ダイヤモンド」のフレーズまでもが引用されているのです。曲名の由来は、Diamont(ダイヤモンド)のフランス語読み「ディアマン」と、「ディアー・マン(親愛なるあなたへ)」のダブル・ミーニングでしょうか?

しかしながら、カップリング曲であること、あまりにも地味な曲であること、ライブでも披露されたことがないことから、おそらくバンプの中でも一番埋もれている曲*6ではないでしょうか。個人的には、アンコール待ちでこの曲の1番を全員で熱唱したらメンバーが楽屋で泣き崩れると思うので、一度でよいので実現させてみたい次第です(でも「supernova」のほうが歌いやすいよね……)。

カヴァーはYouTubeより、上原遼さんの動画をセレクト。MCの感じから既に「ディアマン」の世界っぽい上に、すごいタイミングで学校のチャイムが鳴るというミラクルが起きているので、ぜひ一度ご鑑賞ください。このチャイム……めちゃくちゃ泣けます。

 オリジナルはこちらから。

ディアマン

ディアマン

 


66号線(アルバム『COSMONAUT』収録)

シングルにならなかった! バンプ史上最高のラブソング。

「甘々のラブソングは書かない」硬派なイメージで、10代・20代ハートを掴みまくったBUMP OF CHICKEN。「天体観測」は「ラブソングじゃなくて雨の唄だ!」と言ってしまいそうになるこじらせバンプファンの皆さんも、おそらくこの曲には撃ち抜かれてしまったはず。先日TBS日曜劇場『仰げば尊し』のTVCMで流され*7話題となりました。そのド直球さはインディーズ時代の「リリィ」以来? そして先日の20周年記念ライブ「20」でも演奏された、BUMP OF CHIKEN史上最高のラブソングがこの「66号線」です。

BUMP OF CHICKENにデビューから長らく連れ添っているプロデューサー、MORの森徹也氏に贈られたとされる*8この曲は、しかし恋の唄・愛の唄として聴いてみても、十分すぎるほどのインパクトがあります。美しいメロディや印象的なイントロもさることながら、特に素晴らしいのが歌詞です! 特に、<僕にだってきっとあなたを救える 今でも好きだと言ってくれますか>というキラーフレーズ!!

アルバム『COSMONAUT』は、「あなたの助けに僕はなれない、それでも一緒に居させてくれないだろうか?」というメッセージが数多く描かれています*9。その中で、この曲だけがあなたの助けに僕はなれる!」と、より踏み込んで明言しているのです。本当に、この曲だけです。シニカルな言葉の上に積み重ねられた、強くまっすぐな「あなた」への想いが、胸に飛び込んでくるような作品です。

BUMP OF CHICKENのアルバム曲から、1曲だけシングルにできた曲を選ぶとすれば、どれだと思う? ……と聞けば、たぶんファンから様々な答えが返って来ると思います。そして私ならば、完成度の高さ、そしてキャッチーさの両面から言っても、迷わずこの曲を挙げるでしょう。「天体観測」「スノースマイル」に並ぶポテンシャルを秘めた「66号線」、ぜひ何らかの力でメジャーにしたい所です。

カヴァーはYouTubeより、inu3saru3kiji3さんの動画をセレクト。ちなみに、筆者が参加したGGT*10でこの曲が演奏された際、おそらく付き合いたてと思われるカップルがすぐ前でライブを鑑賞していたのですが、この曲の後、すぐに二人で見つめ合って……。「いい曲だったね」「いい曲だったねぇ……」って言い合ってたのが、なんだかすごく良かったというか……。やはり、そういう目に見えない力がある曲なのだな、思います。

オリジナルはこちらから。

66号線

66号線


バトルクライ(シングル『LAMP』収録)

「20」でも披露された!『FLAME VEIN』の最高到達点。

荒々しい10代のエネルギーが詰め込まれた、千葉・佐倉の最初期~下北沢時代を彩るインディーズ楽曲の数々。「ガラスのブルース」「くだらない唄」「リトルブレイバー」「ナイフ」……それらが、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に結実しています。一方、『FLAME VEIN』期の楽曲は数が少なく*11、また多くが音源化されていないため、思えば貴重なシーズンだったとも言えます。そんなインディーズ期の集大成と言える曲が、この「バトルクライ」です

最近書かれたレビュー記事でも誤認されていましたが*12、「バトルクライ」は『FLAME VEIN』収録曲ではありません。『FLAME VEIN』から約8か月後、BUMP OF CHICKEN初のシングルである『LAMP』のためにレコーディングされたカップリング曲でした。A面である「ランプ」が次の『THE LIVING DEAD』に収録されていることからも、「バトルクライ」が事実上、バンプの下北沢時代・最後の曲であったと言えるでしょう*13。『LAMP』廃盤時に、「バトルクライ」は『THE LIVING DEAD』ではなく『FLAME VEIN』に転載収録されたことも、それを物語っています。

この曲には、『FLAME VEIN』の全てが詰まっています。「想像の中で」なら最強になれる! と歌い上げる力強い言葉たち、そしてヒリヒリするような轟音のバンド・アンサンブル。ストレートでがむしゃらな音楽のパワーは、今聴いても色褪せないものがあります。「バトルクライ」は現在でもライブで比較的頻繁に演奏される「下北沢時代」の楽曲です。不安や迷いを吹き飛ばすように、まるで自分自身を勇気づけるように演奏されるその姿は、いつ観ても、あの頃の青々としたメンバー4人といまこの現在が、陸続きであることを証明しているかのようです。

「K」誕生の前夜、「天体観測」よりも「ray」よりも遥か以前……。「バトルクライ」は、10代のバンプをそのまま封じ込めたような唯一無二の名曲です。

カヴァーはYouTubeより、たもさんのバンドによる動画をチョイス。地元の秋祭りで披露されたというライブ映像ですが、その荒々しい演奏の様子、そしておそらく現地ではけっこう轟音であろう雰囲気、そして途中でカメラがコケるところ(笑)も含めて、「“バトルクライ”の時代のバンプ」と、どこかシンクロする所があるような気もしますね。

オリジナルはこちらから。

バトルクライ

バトルクライ

 


arrows(アルバム『orbital period』収録)

時空を越えた壮大な「旅の終わり」、大作『orbital period』を締めくくる名曲。

2003年。当時のバンプの全てを結集させた傑作ロストマンのシングルが発売し、その「ロストマン」を最終曲に収録したアルバム『ユグドラシル』のリリースを最後に、BUMP OF CHICKENは大きな方向転換を遂げます。「歩み続ける孤独と勇気」を描いていた初期から、掛け替えの無い『あなた』との関係性」を描く、穏やかな歌詞、そして音楽へとシフトしたのです。この傾向は、両者の要素が再び激突する2つ目の傑作「ゼロ」の発表まで続くわけですが、こうした一連の変化は、少なからずバンドにも、そしてファンにも影響を及ぼしました。『ユグドラシル』から大きな音像の変化を遂げた「プラネタリウム」のリリース、ライブで観客の合唱を想定した「supernova」の発表……。「supernova」のPVは、六本木ヒルズアリーナにファンを無料招待して収録されましたが、その頃バンプのライブで観客全員が同じように手を振るということがなかったため、今見てもかなりぎこちない映像になっているのは、とても貴重な記録だと思います。

それもこれも、鹿野淳曰く「いつかこんな曲を書いてくれるのではないか? と思っていた」最高傑作、「ロストマン」がリリースされたから。あのMr.Children桜井和寿が「2000年代で最も印象的だった曲」と評すその内容は、インディーズ時代から続くBUMP OF CHICKENというバンドそのものを凝縮した、正に集大成と言えるものでした。そんなロストマン」の、まるで続きから始まるように描かれているのが、この「arrows」なのです。

<大長編の探検ごっこ 落書き地図の上/迷子は迷子と出会った 不燃物置き場の前>という一節から始まる歌詞。言うまでもなく「迷子」は英語で"ロストマン"。<手作りの地図>と<落書き地図>は、もはやほとんど同じ意味でしょう。「ロストマン」が過去の自分との永別を歌ったものだとしたら、「arrows」はその先、「一人きりの旅路の途中で、同じような境遇の別の誰かに出会う」という曲です。描かれているのは、眼下に広がる壮大な風景、長い長い旅路、そして寄り添い合う、失った者同士の多くを語らない心の交流――。“ロストマン”同士のふたりが、最後に手に入れたものとは何だったのか? かけがえのない『あなた』との関係を描き出そうとする、第二期BUMP OF CHICKENをはっきり示した大作『orbital period』を締めくくるにふさわしい、本当に素晴らしい曲だと思います*14

 カヴァーはYouTubeより、Charlotte Chengさんのパフォーマンスをチョイス。日本語がネイティヴでないシンガーにも多数コピーされているBUMP OF CHICKENなぜか「arrows」は外人さんカヴァーが多いような気がしますが、こちらはまさかの英語字幕付きで楽しむことが出来ます。Charlotte Chengさんの儚い歌声もキュンと来ますし、時々挟まれる口笛も、世界観に合っていて素晴らしいですね。

オリジナルはこちらから。

arrows

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いかがでしたか?もし興味のある楽曲がありましたら、CDやiTunesなどからぜひ本家の音源にも触れてみてくださいね。というか全部知ってるけどね、という方も、ぜひこんな感じに色々理由をつけたりして、あなただけの「隠れた名曲」を探してみてはいかがでしょうか。

ではまた!

 

*1:2016年8月末時点で、公式発表115曲(隠しトラック含まず)。

*2:原盤の違法アップを紹介するはあまり好きではない……。

*3:詳しくはこちらのインタビュー記事を参照

*4:さらにその際、レコーディングに立ち会っていた音楽ライターの鹿野淳氏が「今度のアルバムに収録される「(please)forgive」という曲は素晴らしい!」と雑誌で先行して書いてしまっていたために、長らくウソツキ扱いされるトバッチリを食うはめになったりと、何だか色々とエピソードがある楽曲。

*5:ちなみに藤原から明言はされていないが、アルバム『COSMONAUT』収録「angel fall」も、マイケルを題材にした曲と思われる。

*6:これか「ほんとのほんと」(シングル『firefly』収録)かな……。

*7:しかし本編では使われず=タイアップはつかず。

*8:DVD『人形劇ギルド』リリース時のインタビューで、メンバーは作中に登場する「66ギルド」の由来を「ディレクター(当時の言い方、現在はメンバーもプロデューサーと呼んでいる)のラッキーナンバーからとった」と明言している。

*9:R.I.P.」「ウェザーリポート」「宇宙飛行士の手紙」etc...。

*10:「GOLD GLIDER TOUR」(2012年開催のライブツアー)。

*11:その翌年には『THE LIVING DEAD』という、『FLAME VEIN』とはやや方向性の異なるアルバムが生まれているため。

*12:この記事

*13:厳密には『THE LIVING DEAD』収録の「グロリアスレボリューション」が『FLAME VEIN』よりも以前に作られた曲のリテイク。ただしその時点でほぼ完成済みだった。

*14:個人的に「涙のふるさと」は、アンコール、という感じがするのである。